見えない世界の科学が医療を変える/長堀優
2017/09/03
著者は横浜船員保険病院の外科部長。日々たくさんの患者さんのオペを行いその予後の生活、癌告知での患者の気持ちなど幅広く患者に対して感じて、考えている方と読んでとれる。
自然科学から始まった医療だが日本では主に西洋医学を基本としてきた。その歴史と共に多くの治療法、薬物が開発されたくさんの病から克服してきたが一方で副作用とのバランス、治療の限界も新たな問題としてでてきている。
ここで、それなら東洋の医療の方が良いのか?といった単純なる二元論ではなく、あまりに無視してきた部分を見直していく事で西洋・東洋のマイナス面を補えるのではないかという考え。
また、学術的な理論や手法が優先される医学と個々人へのオーダーメードが必要な医療とに差ができてくるといった部分で本当に病人を一人の人間として診察しているのかといった問題にも言及している。
単なるモノとしての人間ではなく心をもった物質としての人間を観察しどのように対応していけばより良い医療がなされていくのか?現在までの科学ではしっかりと説明こそできないものの心を含めた身体を診る事の大切さを主張している。
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本書もくじ
第一章:こころの健康を考える
第二章:西洋医学は万能なのか
第三章:量子論の説く世界観
第四章:こころとがんについて
第五章:こころで身体は変わる
第六章:がんの医療を考える
第七章:東洋哲学と西洋医学が新しい医療と新しい社会を拓く