奇跡の脳/ジル・ボルト・テイラー
2017/09/03
アメリカの神経解剖学者であるジルが自身の脳出血による体験を記した書。
脳組織の研究をしている研究者自身が脳出血によって障害を持ちその発症から回復までの記憶と体験を語っているのだが自身の専門分野である脳について多くの知識があるはずが損傷によって失われているにも関わらず自分で考察していくというのが興味深い。
前半部分では脳出血についての病状や自分がどの程度損傷を受けているか?どのような障害を持ったかなど発症からのいきさつを科学者として俯瞰的な目でみている。
後半は障害を持ったとき(彼女は左脳に出血した)右脳優位な生活になる。そこで得た体験は少し宗教的ともとらえられる神秘体験についても話している。科学者が冷静に分析する立場でこの神秘体験を述べている所がおもしろい。
そしてこの本が伝える大事な部分として脳出血・脳梗塞などで脳に障害を持った患者とどのように付き合っていけば良いのか?うまく言葉で表現できていないけれど患者はどのような気持ちなのか?についてジルが療養中に感じた事、体験した事を元に寄り添ってくれる人にやってもらいたい事、わかってもらいたい事がかかれており、医療従事者だけでなく介護にあたるような人たちにもとても参考になる話だと思う。
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本書もくじ
1章:脳卒中になる前の人生
2章:脳卒中の朝
3章:助けを求めて
4章:静寂への回帰
5章:骨まで晒して
6章:神経科の集中治療室
7章:二日目 あの朝の後で
8章:GGが街にやってくる
9章:治療と手術の準備
10章:いよいよ手術へ
11章:もっとも必要だったこと
12章:回復への道しるべ
13章:脳卒中になって、ひらめいたこと
14章:わたしの右脳と左脳
15章:自分で手綱を握る
16章:細胞と様々な拡がりをもった回路
17章:深い心の安らぎを見つける
18章:心の庭をたがやす